ガガイモの花

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 今日は畑作業の日。36度の気温の中、少し早めに家を出た。
数日前、南ちゃんの植物博士もみじさんが、facebook にガガイモの写真をアップしていたので、
今日はついにその花とご対面出来ると、
上り坂でフラフラになりながらも、心の中はワクワクしていた。


 収穫の終わったキューリを倒し、トマトのネットを外し、
日陰で一休みしてからみんなで一の森へ向かった。

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 篠笹だらけのときとは比べものにならないほど、さまざまな植物に覆われた一の森。
ガガイモの種はいつ着地したんだろう。
それとも眠っていた?


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 写真でしか見たことなかったガガイモについにご対面。
ふわふわとした毛に覆われた個性的でかわいらしい姿。


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 蔓植物真っ盛りの森で、もみじさんが「切らないで印」を付けておいてくれたお陰で花が咲いた。
冬にあの「イモ」のドライフラワーを見るのが、また楽しみだ。


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 もうひとつ、ガガイモ科のコバノカモメヅルも教えてもらった。
飾り気のない素朴な植物は、見ているだけで幸せな気持ちになる。


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 アリには申し訳ないけど、これを見るとなぜだか顔がニヤけてしまうアリジゴク。
何十と仕掛けられた‘罠‘。そのどれもが、匠の技で、絶妙なすり鉢状に感心する。


 いろいろ観察してしまい、気がつけばいい時間。
日が短くなってきたのを実感しながら、山を降りてきた。




  ガガイモの果実を初めて見つけたのは、冬の多摩川だった。

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 ヒマラヤスギ、スズカケ、ユリノキの果実といろいろ集めてきてはリースを作った。
ガガイモのわた毛は、埃とともに飛んでゆき、今ではとうとうこれだけになった。


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 花を見に行くには、炎天下で背よりも高い草を掻き分けなければならないし、
広い川原で探し出すなんてとても無理と諦めていた。

 
 まさか、一の森で会えるなんて。
今日はうれしい1日だった。





 

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娘のことを考えるだけの

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 藤圭子さんが亡くなったからといって、ブログに書くようなことではないはずだったのに、
ついさっきのこと、何をかけようかとCD棚を、それも、洋楽の棚を眺めていると・・・。


 この水色っぽいのなんだっけ?と目を引っぱられた。
老眼で、背表紙(っていうのだろか、CDでも)に書いてある字が読めず、
取り出してみると、宇多田ヒカルのデビューアルバムだった。
持ってってないんだ、あのコ。

 このアルバムはわたしも半分出資したけど、娘の物だから、
去年引越しの時に持っていったと思い込んでいた。

 まだあどけないジャケット写真。
見ていると、好きな曲もあったなと思いだし、
こんなタイミングで棚に戻してしまうのもなんだか憚られ、聴いてみることにした。

 
 何年ぶりだろう?
1999年3月に発売らしい。
娘が習い事でやっていた新体操のウォーミングアップで使う曲が入っていたから半分出したはずだけど、
聴いてみたらすごくよくて、自分でもかけていたっけ。


 あの年の5月、入院しなければならなくなって落ち込んだわたしを、
ずいぶん楽にしてくれた「time will tell」を書いたヒッキーは、
まだ16歳前ということか。
唸らずにいられないですね。


 入院中わたしの実家で暮らしていた時、「魔女の条件」というドラマを見たい娘と、
小学生にこんなドラマは見せるわけにはいかないと言う母(祖母)が相当揉めたこともあったらしい。
ドラマのテーマソングが、このアルバムの表題曲「First Love」だった。

 わたしはドラマをほとんど観ていなかったのに、娘はドラマが大好きで、
再放送を見るために、放課後は一直線に帰宅するような子だった。
 放課後の校庭に娘の姿はいつもない。
買い物を満載した自転車で横を通りかかると、わかっているのに探していた。

 
 帰宅して、ドラマを観ている娘を見ると、ベランダでため息が出た。
家にいないときは図書館で、大人に混じって雑誌を読んでいた。
外で元気に遊べばいいのに。きっとそう思っていたのだろう。

 
 何をあんなにきりきりしていたんだろう。今はそう思う。
娘は好きなように自分の時間を過ごしながら、狭い地域の中で、出来る限りの興味を育てていたのだと。
図書館の前を通るたびに、偶然見たときの娘の大人びた表情を思い出し、
今はここから巣立ったことを、微かに誇らしく思ったりする。 
 

 宇多田ヒカルの声はやはり藤圭子に似ている。
世間では羨ましがられる対象の母娘でも、
人には言えないことがたくさんあったようだ。

 母と娘。
わたしは自分が母の立場でしか感情が動かないのが、少し淋しいだけの娘です。



 同じように、半分出したアブリル・ラヴィーンも置いてってくれればよかったのに。




 

山の花 夜空の花

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 2週間ぶりの南山。
きのうは、思わせぶりな雷に騙されて行きそびれたので、
今日は午前中から出かけて、一汗流したあと、パチリパチリと写真を撮りながら山歩き。

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 ゴンズイの花が咲き、

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 足元には仙人草。

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 ハギですねぇ。
でも、なにハギでしょう?
*8/31追記:これはハギではなく、コマツナギ(駒繋ぎ)というのだそうです。


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 一ノ森でクズ退治をなさってたU夫さんが畑に戻られ言うことにゃぁ、
「すごいよ~、移植した植物が覆われちゃって・・・」。
ん~、想像に難くないと寄ってみると・・・


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 ここは「クズの森」か「葛ヶ丘」かというありさま。
畑の草取りしてる場合じゃなかったか・・・。

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 下の道端、自慢の「富士山の窓」にも葛の立派な額縁が・・・。


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 えぇ、えぇ、やってやりますとも。
この葛をきれいさっぱり取り払ってやりますとも。
夏休み明けの南ちゃんを「舐めたらあかんぜよ!」
 

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 今日は体力も鎌もないので、さっさと帰ろうと思ってたのに
風に揺れるツリバナのこの1枚に何分かかったことか。

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 手入れの行き届いた里山の道は気持ちよか。

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 もう一度、逆回りしたくなります。そうするとなかなか帰れないですけど。

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 夜の女王、カラスウリの花の後と昼の王女センニンソウのツーショット。

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 今日はそそられますねぇ。
くぐっていくと。

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 あ、ゲンノショウコさん。
ていうとかわいらしいけど、
現の証拠さん、だとイメージが真逆。
効果てきめんの薬草さんは「テキメングサ」とまで呼ばれるそうで・・。

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 昨日の雨がよほど嬉しかったのか、ヤブランの立ち姿の上品なこと。


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 となると、キノコたちも黙ってないわけで。

なんだか、賑やかな山を後に早めに里に降りて


夜は空に咲く花火を、時折雨に打たれながら楽しんだ夏の終り。

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 と、そろそろ締めたいところですけどね、
まだまだ残暑が続くそうです。


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Tom Waitsな夜

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 残念ながらレコードで持っていない。
ちょうど40年前のアルバム。

 いつからこのCDが家にあるのか。
いつの間にか覚えて、癖になって
仕事や人間関係にとても疲れてしまった夜、
ダンナと子どもたちが寝静まった後、
一杯だけバーボンをグラスに注いできて
相手してもらったこと、数知れず。


 ここ1年はノンアルコールビール派になって、
今夜も氷の溶けたアイスコーヒーで聴いているけれど、
古い木のカウンターで細い煙草燻らせて、
無口なマスター相手にぼそっと愚痴ってるような、
ほろ酔い気分にさせてくれる声とピアノ。


 マスター、もう少し居てもいい?


 最後の曲になると、
この居心地のいい場所から出て行かなくてはならない淋しさを覚えて、
もう一度1曲目から聴きたくなってしまう。


 そして本当にもう一度聴いてしまうこともしばしばで、
翌朝の寝不足を誘う一枚です。






南ちゃんの野菜が切れて出会った初めての味

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 これは、山の中で畑をやっている方がくれた小玉スイカ。
笹を刈っていたら、「食べな~」とくださったのだ。
 鎌で割って、種を飛ばしながら仲間と食べた。
みずみずしくて、甘さがちょうどよく、疲れが吹き飛んだ。
 南ちゃん、少しは認めてもらえてるのかな~という嬉しさとともに
美味しくいただいた。


 南ちゃんで手伝っている畑からは
なんでもというわけにはいかなくても
里山の滋養がたっぷり詰まった、季節の新鮮な野菜が収穫出来、
それが食卓に乗るたびに、贅沢なことだなぁと感謝している。


 スイカの日以来山に行っていないし、そろそろ南ちゃんの夏野菜も終わりを迎える頃。
近所の無人販売の台からも、キューリやトマトがなくなりつつあるし、
八百屋さんもお盆で休みになると、もうお手上げ。
スーパーの野菜を悲しい思いで買ってくる。


 新鮮な野菜が食べたいよ~!!
体の中からそんな悲鳴が聞こえてきた。
今日はダンナも休みで車があったので、
少し足を伸ばして、神奈川県の野菜の直売マーケットまでいってきた。


 わぁ~、あるある。真っ赤なトマトがたくさん!
モロヘイヤ、オクラ、プリーツレタス、キューリ、カボチャ、サラダホウレンソウ。
新鮮でその上安いから、ついついカゴにほいほい入れてしまう。


  ん?これはなんだ?
フキのような、芋茎のようなものが目に入った。

 ルバーブ。
聞いたことあるような、ないような・・・へぇ、ジャムに出来るの?
見た目のイメージと相当かけ離れてるけど。
南ちゃんでジャム作りは仕込まれたから、
とりあえず、ジャムと聞けば作ってみたくなる。


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(ミック・ロンソンは、関係ないんですが、クリス・ペプラーが話題にしたのでダンナが置きました)


 さて、出来ましたぞ。
ルバーブ・ジャム。

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 ちょうどライ麦パンがあったので、クリームチーズと乗っけて3時のおやつ。
おぉ、酸味があって、美味しい。
みかけによらないわ。ほんと。


 体の言うことをきいてよかった。
今夜から、また野菜満載の(それしかないけど)食卓で
おいしくビール(ノンアルだけど)が飲めるぞっ。っと。




 

ビートルズの一枚目は・・・?  (DJ高崎一郎さん追悼)

 午前中は暑くて、どこにも出かけられそうにないので、
少し暑苦しいけど(笑)、ジョン・カビラさんの放送を聴きながら、
友だちのfacebookや、ブログを読んだりしていた。


 このブログに初めてコメントをくださった方も、お持ちのレコードを聴き直しながら
ブログに書き綴られているのだけど、ちょうど今、ビートルズのアナログ盤と
デジタルリマスターのCDの聴き比べをしているので、ビートルズ好きの一人として、
たまにお邪魔しては、少しお兄さんといった年代の方々の(コメント含め)お話を読ませていただいている。


 今日、読ませていただいたら、前回分でちょうど600枚目だとのこと。
リンクに貼っている、‘ふみさん‘(少しお姐さま)のブログも、
もう8年くらい続いているとのことなので、
ブログ初心者であり、飽きっぽい性格のわたしにとって、
お二人は、とてもいい目標にさせていただける。

 
 その600枚目は、『Please Please Me』について書かれていたのだけど、
そのアルバムが、イギリスでの公式一枚目のアルバムである、
ということに、わたしの脳みそはすんなりと適応出来なかった。


 わたしにとっての1枚目は、やはり「Meet the Beatles」だから。


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 「ラジオでかかるから、自分で持っていなくてもいいや」とビートルズは買わないつもりだったのだけど、
あるきっかけから手元に置きたくなって、まず『青盤』を買った。高校1年のときだった。


 何かを好きになると、それを通じて友だちが出来る。
2年になって新しいクラスで、ジョージの大好きなわたしに、ジョンの大好きな友だちが出来た。
彼女から教えてもらったビートルズ・シネクラブにすぐに入会して、映画祭に行くうち、ますますビートルズが好きになった。

 ちょうど、4人がソロで活躍していた時期と重なったせいか、 
別な学校に通っていた幼馴染も、いつの間にかポールが大好きになっていて、
二人で新宿に行った時、地下道でヒッピーじみたお兄さんが売っていた(違法だろう、アレは!)、
ビートルズの大きなパネルを買った。
よくあれを持って電車で帰ってきたなぁと、思うほどだ。

 ジョージの顔写真のブローチ(これも絶対に違法モノだわ)を制服の内側につけて、
ジョンとジョージをチラっと見せ合ったり
飯田橋ギンレイホールにイエローサブマリンを観に行ったときは、
エッチな映画を上映する映画館だったらしく、えっちそうなおじさんに興味深々で見られたり。

 
 ビートルズの全曲を制覇しようと決めるまでは、南山の入口よりも急な上り坂、
一気に熱が上がったのも、16、7歳という若さゆえだったのでしょうけど、
映画の帰りに「A hard days night」を買った後は、
日本盤(東芝EMI)のディスコグラフィーに沿って、バイトをしては一枚ずつ買って
一応全部揃ったのだから、一時の熱に浮かされたわけではなかったようです。
 まぁそれは、ビートルズの偉大さゆえで、
その前には、わたしの飽きっぽい性格もひれ伏すしかなかったということなのでしょう。



 そのブログを読んで、日本盤の一枚目「Meet the Beatles」を持ってきてみると、
さすがに一枚目だけあって、ジャケットの裏側には、ビートルズについての紹介文が書かれ、
最後にはこんなことも。


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「最近アメリカでは、‘ビートルズかつら‘が市販されていて、‘ビートルズ・シャツ‘とともに製造が間に合わないほど売れているとのこと」
ですって。


 そのすぐ下には、(解説 DJ高崎一郎)。

 それを目にしたとたん、ちょっとだけ驚いたけど、
なんだか笑いがこみ上げてきた。

 またしても、こんな偶然が。と。
高崎一郎さんの訃報を目にしてから、まだ2時間も経っていなかったのだから。

 



  
 DJ(ディージェイ)ではなく、「ディスクジョッキー」ですよね。
ずっと忘れていた声と、最近聞かなくなったその言葉を思いだした。


 レコードを聴きながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。
 合掌。

 

今夜も Rickie Lee Jones を聴きながら

 先週、J-waveから久しぶりにリッキーの曲が流れてきた。
来日してるんだ。後援してるのね、J-waveが。

 憧れのビルボード東京かぁ。
行ってみたいね、いつかは。
そう言いながら、今回は見合わせた。


 80何年の来日だったんだろう、中野サンプラザに観にいったことがあった。
(チケットやプログラム、とっておくんだった。後悔先にたたず。)
席は前から3番目くらいだったろうか。
でも、彼女のグランドピアノをすこ~し後ろから見る感じの、端よりの席だった。


 席に座り、すぐそこにリッキーが来るのかと、それはそれはそわそわと待ち続けた。
やっとライトダウンし、観客の歓声の中、にこやかに現れたふくよかな美女が、
「まさかまさか」と目を丸くするわたしたちの目の前で、
ピアノの前に座った。
見事なまでにむっちりとした腰周りが椅子に乗った瞬間の、
「いや~ん」という心の叫びが、今も蘇ってくる。

 思わずダンナと顔を見合わせた。
だって、ポスターの麗しき・・・
ああ、まぁ、いい。

 アメリカの女の子が16歳くらいから、
グラマラスになってゆく様は、お友だちを見て知っていたし、
目の前で歌っているその声は、紛れもなくリッキー、
毎晩毎晩聴いているリッキーの声そのものだから。


 ラジオから聞いたのは久しぶりだったけど、
同じスピーカーから、週に一度は彼女の声が流れている。
そのくらい聴いてしまうアルバム‘PIRATES‘は、もう音が掠れてきている。


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 他にも6曲入りの10インチ(?)アルバムと、CDは数えてみたら6枚ある。
ダンナがたまにかけたり、自分でもたまには聴く。
どのアルバムも好きだし、聴けば次の曲が浮かんでくるアルバムもある。


 でも‘PIRATES‘は別格。


 何年商売をしていても、すご~くヒマな夜が、年に数回はあった。
いつものざわめきが透けてそこにあるような、不思議な静けさに包まれた店内で、
グラスを磨いてみたり、キープしてもらっているボトルを拭いて並べ直したり、
噛んでしまったカセットテープを直したり。






 あの瞬間を、隅々まで思い浮かべることが出来る。
そんな1枚。


  また来日してくれるかしら。
行かなかったことを後悔しているわけではなく、
目の前で歌うリッキーの姿が、なんだか無性に、
もう一度見たくなってしまったのです。



  

死にゆく時に聴いていたい

 8月7日の朝日新聞の朝刊で、「死にゆく人は青空を見ている」という見出しを見つけて、
ちょっと思い当たることがあるわたしは、どぎまぎするような心持ちで読み始めた。

 その記事は没後80年の宮沢賢治を語るリレーオピニオンで、その回語っているのは
映画「おくりびと」が作られるきっかけになった小説「納棺夫日記」の著者、青木新門という方だった。

 納棺の仕事に就いたときに親類からひどい差別の言葉を投げられ、隠れるように仕事をしていたこと。
そのうち「死とはなにか」「亡くなった人はどこへいくんだろう」と考えるようになり、
仏教書を読んでみたが、実感としてわからない。
そんなときに宮沢賢治の「眼にて云う」という詩に出会い、腑に落ちたというようなことが書かれている。


 病に倒れ、話すことも出来ない臨死の状況を描いたその詩は、
書き出しはグロテスクな感じだが、最後はこんな風だった。
「わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです」
そこまで読んで、我が意を得たりの心境になった。 


 
 もう十何年か前に、10日ほど検査入院をするように言われたことがあった。
まだ子どもたちは二人とも小学生で、入院なんてありえないと目の前が真っ暗になるような出来事だった。

 どうしても避けられない事態を察して入院し、検査後の絶対安静が過ぎると、
痛いところも苦しいこともないわたしは割と自由に過ごしていられたけれど、
そこは大きな病院であり、普段の生活では考えられないほど死はすぐ近くにあった。
 夜中響くナースコールと、辛そうなうめき声に眠れたものではなかった。


 検査の結果、あと1ヶ月入院をすることになった時、このままでは心まで病気になると思い、
許される限り、周りの方とお喋りをしたり、リラックスして過ごそうと決めた。
イヤホンで耳がおかしくなりそうなので、テレビはサッカーだけにして、
ラジオも残念だけど聞き過ぎないように気をつけていた。


 ある日、とても嫌な言い方をする女医が隣のベッドの方のところに来たので
ラジオで耳を塞いでいると、Christopher Crossの「Sailing」が流れた。
 結婚した年の夏に買ったアルバム「南から来た男」(邦題)の、
B面3曲目に収められたこの曲と、続く4曲目の最後の曲は特に好きだった。
‘80のシモキタの夕方の景色と、このアルバムが重なるのは
よくこのアルバムを聴いてから出勤していたせいだろう。



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 その後も、初めての妊婦の夏、呼吸法を練習するときも、
小さかった娘と息子と公園から帰って来て昼寝する時のBGMも、
この曲だった。

 
 死ぬ時に、この曲が聞こえていたら、
午睡に落ちるように、す~っと静かにこの世から離れられるかもしれない。
病室の薄いグリーンの仕切りカーテンを見ながら
ふっとそう思った。


 こちらを見ているみなさんとお別れして、わたしは目の前の海の上を歩いていく。
やがてまわりは雲になって・・・
とめどなくそんな想像をしていた。


 病院に入院しながら、こんな空想をしているのは不謹慎かなと、後ろめたい気持ちもあった。
もちろん、希望が叶えられる保証はどこにもない。
その「時」は、自分で決められるものではないから。
でも、それまで怖くて哀しいだけのものと遠ざけてきた「死ぬ時のこと」を、
そんな風にイメージ出来るようになったのは、とても良い効果があった。
その頃から、夜眠れるようになっていったのだから。


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 実は昨日、緊急地震速報が鳴ったときも、
このレコードを聴いていた。
 ほんの一瞬、「このレコード聴きながら・・・」
そんな思いが頭の中をよぎったが、現実的ではないと感じた。


 そのかわり、数秒後にグラグラと大きな揺れが来て
レコードは波打ち、針は飛び、下手したらプレーヤーごと落下するかも。
だから止めてレコードをしまわなくちゃ。
という考えに切り替わったのだが、怖くて動けず、
レコードが波打つのを、まるで眼で抑えられるかのように睨みつけながら、
寄ってきたそらを抱いていた。


 揺れは来ず、A面も終わり、ふぅ~っと息を吐きながらひっくり返し、
B面を聴いていると、少しづつ鼓動が落ち着いていった。







 「ねぇ、わたしがもうすぐ息を引き取るっていう感じになったら、
クリストファー・クロスのセイリングかけてね」

 ダンナにお願いすると、
「かーちゃんの方が絶対オレより長生きだから、アイツらに言っとけ」と言われる。

 こういう話はお互いが元気な時にしかできないから、
今のうちにあれこれと言っとかないと、と思うけど、
どこまで本気で聞いてもらえるだろうか。



友だちがここに来る日

 今日は久しぶりに南山に行ってきた。

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 午前中の空は、昼を過ぎればすぐにでも崩れてきそうな気配だった。



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 蒸していたけど、風が気持ち良く吹いていたので、草取りと蔓返しを少しした。
黙々と手を動かしていると、頭の中には昨日のことが巡ってきた。



 昨日は4年ぶりに高校の友人たちと集まって、
昼過ぎから夜中まで、5人でたっぷりお喋りしてきたのだった。
仕事のことや、PTAや地域での役割、子どもが就職したとか辞めたとか、
ダンナがハゲたとか、お腹が出たとか、
心配事の種は、まぁどこも似たようなものね、という感じだ。


 体に変化のある年代だし、それをわかって貰えないもどかしさも一緒。
「そうそう」と言い合っていると、心がどんどん軽くなった。
まるで毎日会っているみたいに喋って笑って、
家に帰るとまもなく日付けが変わったのだから、
今日は休みをとっておいて正解だった。



IMG_1003.jpg かぼちゃが出来てた!



IMG_1005.jpg  ナスと調理用トマトを収穫出来たので、シンプルラタトゥイユでも作るか。


IMG_1007.jpg  つるなしインゲンの花。かわいい。


 
 みんなもそれぞれ頑張ってることがあって、なかなか会えないけど、
「今度、南山行ってみたいな」と言ってくれたのがとても嬉しかった。


 みんなにも来て欲しいな。
景色を見て欲しいし、空気を吸って、
思い切りリラックスしてって欲しい。


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 そうそう、京王線に乗れなかった友だちには、
ここでポスター見せてあげられるな。


 みんながここに来るのを想像していると
いつもより軽やかに歩けた気がするのだった。





 

夏の朝は BAD COMPANY

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  夕べは、地元の盆踊り。
今朝は鉛の体です。
 夕立があったお陰か熱帯夜にならず、朝も涼しい空気が心地よく、
布団の上でネコとごろごろ過ごしながら、レコードをかけました。


 夏の朝に、何故か合う。
とわたしが思い続けているこのレコード。

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 特にB面の1曲目が聴きたくなって、このレコードをかけるのです。


 実家で聴いていた頃、
北側の窓を開け、多摩川に朝日が差してくる気配を感じながら浸っていると
「うるさいよ~」
と、妹が文句を言ったものです。
ま、当然といえば当然ですね。
朝っぱらから、聞きたくもない音楽を鳴らされては。


 二人で一緒に部屋を使っていた時期は、ほんの数年でしたが、
夜、後から部屋に行くと、二段ベッドの下のわたしのねぐらに
「ラジオ、聞いてもいいけど 音ちいさくしてね」
とよく手紙が置いてありました。

 ヘッドホンとか持ってなかったし、ラジオも祖母から借りたポケットサイズ。
それでも、アメリカンTOP40なんかを布団の中で、ボリューム絞って聞いたものです。
レコードを聴くのも、妹が母たちとドラマを見ている時間帯に思いっきり聴いてました。
部屋の電気を消して、ものすごく集中して。


 レコードを聴く。
それだけに集中出来たのも、ほんの数年のこと。
 そうやって聴いたレコードは、
今でも、1曲目を聴いただけで体の中に流れが出来て、
最後までその流れに乗るようにして聴いている。
そんな感じがします。


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 さあ、今夜も盆踊り。
サイモン・カークみたいにがんばるぞ!









プロフィール

櫟コナラ

Author:櫟コナラ
里山と多摩川のある街で暮らしています。
家にいる時は、音楽かラジオをかけて、パンを作ったり、ネコと戯れたり。
うまく子離れしている・・つもりなんですが・・・。

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ELP四部作

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Figure 8

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