パティを渡しに真夜中のドライブ

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 パティ・スミスのジャスト・キッズを読み終えた。
パティとロバート・メイプルソープの若き日の出会いから、死がふたりを分かつまでの物語。
こんなに、いつまでも読み終えたくない気持ちで本を読んだのは初めてだ。


 DREAM OF LIFE というアルバムの曲を録音していた頃の話になったので、
レコードを聴きながら読んだ。
 
 その頃パティのお腹には二人目の子どもがいたという。
うちの娘とひとつしか違わない。

 一方同じ時期、パティと別れたロバートはエイズに冒されていた。
「ロバートの体の中には死が、わたしの体の中には生が・・」
というくだりに、胸がえぐられそうだった。


 このジャケット写真は(も、というべきか)、
パティの夫のフレッドの提案でロバートが撮影したものだが、
本にはロバートが撮った最後の写真も載っていた。

 生まれて半年ほどの娘を抱いたパティ。

 二人の複雑な愛の変遷を読み続けてきた最後に優しすぎる写真を見て、
いろんな感情が湧き上がり、何かしないと気持ちを持て余してしまう気がした。


 娘に会いに行こうかな。
去年、娘が一人暮らしを始めた季節が近づいたせいか、ちょっと淋しくもなっていたし、
2ヶ月半も会っていないし・・。


 メールをすると、珍しくアパートに帰っているというので、
読み終わったばかりの本と、娘宛の郵便物と、父と母から言付かった物と、
お米を車に積んで、久しぶりに真夜中のドライブをした。


 多摩川べりを走って行く途中で、広い川景色の向こうに夜景が瞬く場所があり、小さく東京タワーも見える。
今までは「今日も見えてるね~」と話す相手がいるドライブだったのだと、こんな時に気づくのだな。

「はい」
「さんきゅ、はい」
パティの詩集と交換しただけで、またすぐに帰りのドライブが始まる。


 アパートの前の路地が狭いだけが理由ではなく、
親が出向いたときはこんなもんね。自分もそうだった。


 でも、なんだかやっぱり淋しいから、
寝る前にもう一度このアルバムを聴いている。
次はいつ遊びにくるかしら、とか思ってしまいながら。







 
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パティ・スミス

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 娘からパティ・スミスのサイン会に行って欲しいと頼まれて、昨夜代官山の蔦屋書店に行った。
本を買って申し込んだらチケットが取れたのに、仕事でどうしても行けないと言うのだ。

 この年までサイン会というのは行ったことがないし、パティ・スミスとサイン会ってなんだか違和感があるなぁというのが正直な気持ちだったが、中学生程度の英会話を必死で頭に叩き込んでサイン会に臨むことにした。

 
 普段は縁のない代官山。
隣の街のTUTAYAと同じTSUTAYAとは想えない、テーマパークのような眩い光を放つT-SITE。
まごまごしながらやっと会場のある3号館の2階に到着すると、すでに始まっていたトークショー(こちらのチケットはなかったので)には人垣が出来ていて、頑張って背伸びしたら一瞬だけパティの顔が見えた。

 そのままの体勢では全身つってしまいそうなので、会話を耳にしながらあらためて売り場に目をやると、目がふたまわりほど大きくなりそうなほど驚きの品揃え。

 『80‘コーナー』が目に入り見にいくと、ダンナが昔売ってしまったレコードの再発(?)CDがぞろぞろ並んでいる。
フォーク・シンガーソングライター・パンク・ネオアコースティック・・自分の探したいものがどこにあるのか迷子になりそう。
 試しに探してみたブルース・コバーンは、40センチくらい幅をとってずらっと並んでいるではありませんか。
心の中で「うわぁ~、すごい!」っと叫んだその時、トークショーからも拍手と歓声が上がった。
え、もしかして歌う・・?
意識を向けたのと同時にアコースティックギターの音色とパティの生の声が流れてきた。

本物だぁ。初めて実感して鳥肌がたった。


 サイン会の整理券番号はほぼ最後尾だったので、待ち時間がけっこうあった。間に合いそうなら来れば?と娘にメールを入れたが返事がないまま順番が近づき、サインをしているパティが見えるところまでくると、係りの人から「一箇所だけサインを書いていただきますので、お好きなところを開いてお待ちください。またお疲れですので握手はご遠慮ください」と説明を受けた。


  いよいよ番がきた。
わたしが差し出した本を受け取りパティがサインを書き始めたのを覗き込んで、隣に座っている通訳の女性が
「さすが、わかってるね~、いいところ開いてる」と笑顔で言ってくれた。その言葉で背中を押されたんだな、きっと。
「娘がその本を買いました。でも仕事で来られないんです」
半分英語半分日本語になってしまったが口に出していた。それを通訳さんが伝えてくれると、パティが娘の名前を尋ねてくれた。そしてスペルをひとつずつ確認しながら書いて、口に出して読んでくれたのだ。
「今日のスペシャル出ちゃったよ!」
通訳さん、あ~申し訳ない名前知らなくて、でもそういうあなたのお陰です、本当にありがとうございました。
今思い出しても夢のようだ。


 そのあとも娘は仕事を終えてくるまでだいぶ時間がかかった。
詩集を渡し一部始終を伝えると、よかったじゃんとニコニコしている。
なんだかこっちの方が娘みたい。


 
 さっき『WAVE』をかけた。
今の娘より若かったわたしがオンタイムで買って一番聞いたアルバムだ。
1曲目のフレデリックがいつもよりさらに沁みて涙が出てきた。
しばらくしたらあの詩集を借りて、サインをもらったページを読み返しながら聴いてみたい。



       



 





 

 
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櫟コナラ

Author:櫟コナラ
里山と多摩川のある街で暮らしています。
家にいる時は、音楽かラジオをかけて、パンを作ったり、ネコと戯れたり。
うまく子離れしている・・つもりなんですが・・・。

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